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第059回目

不変の人格は仕事に打ち込む中で作られる

私は「リーダーのあるべき姿」として、必要な資質をいくつかあげていますが、「人格が素晴らしいからリーダーにふさわしいのだ」ということについてお話をします。

しかし、注意しなければならないのは、人格とは固定的で全く変化しないものではなく、「変化する」ということです。
たとえば、真面目で立派な人格者だと思っていたのに、リーダーになって周りからチヤホヤされるうちに段々傲慢(ごうまん)になり、ついには人柄が全く変わってしまう人がいます。

また、若い頃は極道(ごくどう)者で悪さもし、周辺の人も泣かせたけれども、晩年になって目が覚めて、素晴らしい人格者になったという例もあります。

このように、人格は普通変化します。
環境によって、また状況によって変わってしまうのです。

では、変化しない人格というものを作ることはできるのか。
二宮尊徳は日本の江戸時代の農民で、寺子屋で若干の勉強をしたかも知れませんが「学問を修めた」と呼べるほどのものではなく、朝は朝星、夜は夕星をいただくまで、鍬一丁鋤一丁(くわいっちょうすきいっちょう)(かつ)ぎ、田畑に出て農作業に努め、貧しかった農村を豊かな村に変えるという偉業を成し遂げました。

この尊徳の素晴らしい業績を伝え聞いた日本各地の殿様が、貧しく疲弊した村の再建のために彼を招くようになります。
尊徳もそのような要請を受け入れて、寒村(かんそん)を次から次へと豊かな富める村へと変えていきました。

その噂はやがて江戸幕府にも伝わり、殿中(でんちゅう)に尊徳を招くまでになります。
その時の様子を、内村鑑三は次のように表現しています。
「生まれも育ちも貧しく、教養も何もない一介の農民である尊徳が、侍と同じように(かみしも)を着けて城に上がり、当時の武将たちに()して話をする。
その立ち居振る舞いといい、話の内容といい、すべてが素晴らしいものであった。」

つまり、人格とは、仕事に打ち込むことによって身に付いていくものであって、なまじ学問を修めたり本を読んだりして身に付いていくものではないということです。
「物事に打ち込んで打ち込んで人格を作り上げたような人を、すべての組織のリーダーに選ぶべき」だと考えています。
そうすれば、集団を不幸に陥らせることはないはずです。

今、私は物事を究めれば万般に通ずると説教じみたお話をしています。
しかし、今お話ししたようなことを私が専門的に勉強したかというと、そうではないわけです。
写真の研究をし、製造し、販売する、またオフィス用品やOA機器を研究し、コンサルし、販売し、サポートする。また、会社経営をするということを1997年12月24日から数十年間やってきただけのことなのです。

しかし、「一番館行動指針」のなかにあるように、一つの物事を究めれば万般に通じていくのです。
小さな一番館という会社を経営しているだけの私ですが、お客様先や取引先や勉強会などで発言をすれば、皆さん私の言葉を尊重してくれます。
それは私に権威があるからではなく、精魂を打ち込み、仕事を通じてあるものを(きわ)めた人間の発する言葉がいささかなりとも真理を突いているため、結果として尊重されるのだと思うのです。

コメント

川邉さん

(2015/07/17 18:08)

>真面目で立派な人格者だと思っていたのに、リーダーになって周りからチヤホヤされるうちに段々傲慢になり、ついには人柄が全く変わってしまう人がいます。

身の回りでも良く見かけたことのある光景なのでよく分かる。
そのような人たちを反面教師として、自分は同じ轍を踏まないように気をつけたい。

峯村さん

(2016/04/05 22:28)

「物事を究めれば万般に通ずる」というのは本当にそうだと思いました。

小泉社長

(2018/09/02 13:09)

第76回目《大善(だいぜん)功徳(くどく)小善(しょうぜん)功徳(くどく)》では、乙武さんのコメントについて物議(ぶつぎ)(かも)し出した。

乙武さんの学生時代と学校の先生時代は、とても高評価であった。
しかし、環境が変わると自由の時間ができたのであろうか、2018年に不倫騒動が多発し、人格が変わってしまったと思われる1人である。


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