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第064回目

余裕の中で生まれるアイデアは単なる思いつきにすぎない / みずから追い込めば不可能と思われることも可能になる

ノーベル賞をもらうような素晴らしい成果を残した研究者は、やはりギリギリのところまで自分を追い込んで研究をした人であるはずです。

追い込むということは、熱中するということです。
他のすべてが見えなくなってしまって、ただひとつのことに没頭する、つまり、精神・意識が集中している状態です。

「火事場の馬鹿力」という言葉があります。
隣の家から火が出て、自分の家に火が燃え移らないうちに家財道具を運び出そうと、か弱いご婦人が大きなタンスを(かつ)ぎ出してしまう。
火が消えたあと、何とか自分の家は焼けずに残ったので、タンスを家に戻そうとするのですが、今度は押しても引いてもびくともしない。
どうして自分がそんな重いものを担ぎ上げることができたのか、不思議に思うわけです。

先ほど、「神の啓示」という精神的な話をしましたけれども、精神を集中させると、肉体的、物理的な領域においても大きなエネルギーを生み出すということを、この「火事場の馬鹿力」は証明しています。

また、このような例もあります。
か弱い女性に催眠術をかけ、その手を組ませて、「あなたの手は鋼鉄のようになりました。何がぶら下がっても、決してあなたの組んだ手は外れません。」という暗示をかける。
そうすると、本当にその手は大男がぶら下がっても外れない。

マジックの世界でも、そのような場面を目にすることがあります。
もし普通の状態で大人にぶら下がられたら立っていることもできないのに、催眠という形で精神が集中した瞬間はものすごい力を発揮する。

それは催眠術でも、「火事場の馬鹿力」と言われるものでも同じ原理です。
つまり、自らを追い込んでいくことによって、精神的な閃きも得られると同時に、想像もつかないような物理的なカをも発揮することができるのです。

この「自分を追い込んで研究に熱中する、没頭する」ということには、さらにもうひとつの意味があります。
精一杯自分を追い込んで「もうこれ以上はやれない」と思うようなところまでいくと、「自分は精一杯やった」という自負がありますから、「あとは天命を待とう」という心境にたどり着けるのです。

不況下であれば、周りの会社がどんどん倒産していき、自分の会社の受注も減っていく。
しかし、そのなかにあっても、自分は必死に精一杯仕事に打ち込んでいる。
この「精一杯」が安心を生むのです。

私も、「自分は精一杯やった。あとは天命を待とう。これで潰れるならしょうがない。」と思えるまで、力を出し尽くしてきました。
もし中途半端にやっていれば、いざ会社が潰れるという時になって「あの時に、もうちょっとやっておけばよかった。」と悔いを残すことになってしまいます。
これは非常に大切なことで、大抵、みんな中途半端にやっているものですから、「手形が落ちない」「金策がつかない」「もう潰れそうだ」「ああ、あの時にやっておけばよかった。」という気苦労や後悔をする羽目になるのです。
そして、心労から健康を損ねてしまったり、最悪の場合、命まで失うかもしれないわけです。

一生懸命に力を出し尽くし、「ここまでやったのだから」と達観(たっかん)して、あとは天命を待つ。
つまり、安心立命(あんしんりつめい)の境地に到るまで、自分を追い込むのです。

コメント

川邉さん

(2015/07/28 17:45)

この項目を読んで、感想は思いつかなかったが、1%のひらめきと99%の努力、という格言に近いのかもしれないと感じた。

小泉社長

(2015/08/04 00:31)

第64回目《余裕の中で生まれるアイデアは単なる思いつきにすぎない / みずから追い込めば不可能と思われることも可能になる》はいかがでしたか?

私の拙い経験ですが、余裕の中で生まれたアイデアとして、イメージング事業部では年賀状の内製化、オフィス事業部ではホームページの制作サービスがあります。

経緯を説明しますと、イメージング事業部は、ご存知の通り衰退業種です。
今までと同じやり方をしていては衰退業種ですから、淘汰されてしまいます。

そこで、弊社の場合、工事写真や一般の方の写真の現像から、学校関係の写真か、スタジオアリスさんのようなスタジオにシフトするか、もしくは暑中見舞いや年賀状などの印刷にシフトするか、選択しなければならない時代がありました。
ちなみにフジカラー関西はスタジオアリスを運営し、フジカラー新日本は暑中見舞いや年賀状にシフトされました。

そこで、弊社は資金的に余裕がなかったので、設備投資がかかるスタジオと年賀状・暑中見舞い印刷をあきらめて、今の設備のまま品質一本で勝負ができる学校写真に特化し、現在に至っています。
前田写真館さんをはじめとするたいへん目の肥えた方を相手にするのですから、この時の決断にはすさまじい気迫がこもっていました。

数年がたった頃、学校写真も軌道に乗り、資金的にも少し余裕が出てきた頃に、以前あきらめた年賀状や暑中見舞いの内製化をする貼り合わせ機を購入しました。
ところが、年賀状と学校関係の繁忙期が重なり、考え直した末フォトキャンバスさんに貼り合わせ機を預けて、フォトキャンバスさんへ年賀状の貼りあわせを依頼することになりました。
学校関係の写真をする時は、たくさんの困難が出てきても努真剣に考えて壁を乗り越えていきましたが、余裕のある時にしたことはなんとも簡単に外部委託をしていました。

余裕のある時に行う事業は、何のために事業を興すのかしっかり決意して、その決意に基づいてしっかり計画を立てなければ「余裕の中で生まれるアイデアは単なる思いつきにすぎない」ことになります。

一方、Win95のパソコンの普及によりデジタル化の流れが一気に加速し、急遽立ち上げたデジタル機器を専門に扱うオフィス事業は軌道に乗り、周りからは不可能と思われたにもかかわらず見事事業部として成立し、デジタルカメラの普及だけにとどまらず、オフィス用品一式を取り扱うようになり、さらにPhotoSpotなどの写真販売管理システムを立ち上げる頃には、周りに一番館ほどネットワーク機器やデジタル機器に長けている会社が大手しかなく、弊社が写真の焼付けを行うことになりました。

前田さん

(2018/11/26 13:56)

単なる思い付きと努力から生まれるアイデアは違うものだということを認識しました。

鈴木さん

(2020/01/09 13:33)

ふとした時の思いつきと考え抜いたアイディアの違いは「常にその事柄を考えているかどうか」だと思います。
それによって“思いつき”の質が変わるのかな?と思いました。


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