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第069回目

バランスのとれた人間性を備える

バランスのとれた人間とは、何事に対しても常に「なぜ」という疑問をもち、これを論理的に徹底して追求し、解明していく合理的な姿勢と、誰からも親しまれる円満な人間性をあわせもった人のことをいいます。

いくら分析力に優れ合理的な行動を貫くスマートさを備えていても、それだけでは、まわりの人々の協力を得ることはできないでしょうし、逆にみんなからいい人だといわれるだけでは、仕事を確実に進めていくことはできません。

私たちが素晴らしい仕事をしていくためには、それぞれの担当した部門の専門者としての合理性とともに、「この人のためなら」と思わせるような人徳を兼ね備えていなければなりません。
これは、科学的な合理性と豊かな人間性をあわせ持ち、かつ、そのどちらにも偏らないバランスが必要であるという意味です。

私自身、法学部出身で、オフィス事業部では高額商品も扱い、イメージング事業部ではたいへん細かい細部までこだわった写真を扱う経営者兼営業に携わっていた人間ですから、どうしてもびびりで、いろんなリスクを考えてしまい、穏便に物事を納めようと考えるくせがついています。
そのため、元来私は非常に理屈っぽく、石橋を叩いて石橋を叩き割ってしまって渡ることができなくなるまで慎重に考える進め方をします。

ところが、職種柄たくさんの経営者と接していますと成功する経営者のパターンと失敗する経営者のパターンの傾向が見えてきました。

そこで分かったのは、科学的・合理的な考え方を基にしくみを作らなければならないが、一方で、豊かな人間性(従業員を信じる。顧客を信じる。取引先を信じる。)を持つことも必要だということでした。
そして、その両方を併せ持つことが、経営者や従業員にとっては必要なことだと分かったのです。

昔、営業のスタッフが外回りから帰ってきて私にその日の報告をする中で、「いや、この件は難しいのです。私にも訳が分かりません。」などと理屈にならない説明をする者がいると、私はひつこく追求していました。
私は形而上学(けいじじょうがく)的な、精神的な領域の話をよくします。
そのくせ、会社経営・営業活動または研究開発において、不可思議な発言は一切許しません。
訳の分からないことがあっては困るわけで、企業活動のあらゆる問題は、すべて理屈で証明できるはずなのです。
また、証明できるようでなければ話になりません。
そこへ、「訳の分からない」話を持ち込んでくるとは、とんでもない話です。

ですから、客先と訳の分からない話になっている時は従業員さんのことを信じた上で「お客様が得をするように、弊社が使われているので訳が分からなくなっているのではないか?」
弊社側のミスによる訳の分からない説明については、「バカなことを言うな!必ずどこかに原因があるはずだ。全部科学的に割り切れるはずだ。」と、よくきつく言っております。

一方で私と違って科学的にすべて考えるタイプの人間は、とことん理屈で割り切ろうとします。
「精神論とか、宗教の世界とか、そんな訳の分からない話が信じられますか。私は説明がつかないものは信じません。」と言うわけです。

私の場合は、会社で仕事をし、また経営をする世界ではとことん合理主義であり、絶対に不可思議なことは許さない。
ところが、一歩会社を離れれば、その対局にある宗教の世界など、精神的な領域をも信じられる。
なぜなら、1000年以上続いている組織は宗教以外ないのですからいかに考え方を統一することが大切なことであるかが分かるからです。

問題になるのは、そのように対極にある二つの人間性がバランスを失っている場合です。
仏の世界に没頭し、形而上学的、宗教的なものに傾斜(けいしゃ)すると、それを仕事場にも持ち込む人がいます。
極端な博愛主義で指導をするコンサルタントもいるようですが、これはとんでもない話です。

私は経営論においても「利他」の重要性をお話しますが、これにはちゃんと合理性があるからお話ししているのです。
ビジネスの世界では、徹底した合理主義者、しかし、それ以外ではロマンチストであり、形而上学的なことも考えられる人間でなければいけません。
この両面のバランスがとれていなければ、一流にはなれないと考えています。

コメント

川邉さん

(2015/08/01 09:23)

>科学的・合理的な考え方を基にしくみを作らなければならないが、一方で、豊かな人間性(従業員を信じる。顧客を信じる。取引先を信じる。)を持つことも必要だということでした。
>そして、その両方を併せ持つこと(が大切であるということ)

なんとなく言わんとすることは分かった。

小泉社長

(2015/08/03 23:44)

第69回目《バランスのとれた人間性を備える》はいかがでしたか?

世界を見ますと、あまりにも宗教の世界に没頭してしまい、宗教戦争をしている地域があります。
逆に、国民の半数以上が仏教徒であり、平和ですがあまり働かないので貧困国のままの国があります。

反面、科学的にというかすべてを合理的に割り切ってしまうと、村上ファンドやホリエモンなどのように我利我利亡者になってしまい、村上代表は「お金儲けは悪いことですか?」などの発言をし、市場から排他されています。

では、成功している会社を見ますと、武田薬品は「武田の道」、花王は「花王ウェイ」、京セラは「京セラフィロソフィ」、大手前社会保険事務所は「大手前クレド」など、宗教でも見習うところを会社に取り込んで冊子にし、従業員全員で共有しながら合理的に仕事をしている会社が成功されています。

このようにバランスというのはたいへん重要であることが分かります。

前田さん

(2018/12/20 19:05)

私は合理的とは対局にいるかもしれません。
バランスを取れるようにしたいです。


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