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第072回目

ボタ山を宝の山へと変えていった3M創業者の創意工夫

私は「全員で毎日創意工夫をしていこう。学歴や専門知識ではなくて、その創意工夫こそが、会社を発展させていくための原動力になる。」と考えています。

その中で、よく次のような例を引いて話をしています。
アメリカに、3Mという会社があります。
接着テープ、またはビデオテープ等のブランドで、皆さんもよくご存知だと思います。
業績も良い世界的な化学メーカーです。
この3Mの創業者はかなりのやり手で、まだ会社が中小企業だった頃からかなりのお金を持っていたそうです。

その創業者がさらに会社を大きくしたいと思っている時、ちょうど友人から「鉱山を買わないか?」という話が持ち込まれてきました。
質の良い鉱石が出るというので、彼はその鉱山を高いお金を出して買うことにしました。

しかし、実際には、採掘後のクズ石でできたボタ山でしかなかったのです。
念のためにボタ山の鉱石を専門家に調べてもらっても、「まったく価値がない。」と言われ、せっかく貯めた大金を投じたのに、友人に騙されたことに気がつくわけです。

ところが、そこからがやはり非凡な人は違います。
ボタ山のクズ石は、ほとんどが石英を主成分としていました。
その石英のクズ石の山を見て、彼は「何とかしてこの石を使ってみよう。」と考えたのです。

その石をふるいにかけ、細かい粒と粗い粒とに分けて、接着剤を塗った紙の上にこぼしてみました。
乾燥させると、接着剤が固まって紙に石の粒がくっつきます。
それを使って鍋の底をこすってみると、みるみるうちにきれいになったのです。

特に細かい方の粒をくっつけた紙で磨くと、金属が美しく光る。
「これは面白い。」と商品化することにしました。
いわゆる「サンドペーパー」の誕生です。

ところが、安物の紙を使っていましたから、少し磨けばすぐにボロボロになってしまいます。
そこで専門家のところへ相談に行くと、「それならば、耐久性のあるこの紙を使うべきでしょう。接着剤も、このようなものを使うといい。」と教えられ、改良改善を試みたのです。

原料も決まり、次には機械を買って、粉砕、ふるい分け、そして接着剤を塗った紙への貼りつけまでできるようになって、ようやく「サンドペーパー」の量産に目処がつきました。
原料の小石を砕いて粒の大きさをふるい分け、粗いものから細かいものまで、彼は様々な種類のサンドペーパーを作って売り出しました。
それが大当たりして、飛ぶように売れたのです。

そのうち、「もっと品質のいいものを作りたい。」と思った彼は、あれこれと工夫するようになります。
接着剤が弱いと、石の粒が剥離してしまってうまく磨けない。
かといって、接着力があまりに強くても具合が悪い。
一番いいのは、磨きながら石の粒が程良く剥がれ落ちて、常に新しい粒が表面に来ているというものです。
そのためには、どの接着剤が理想的かということで、彼はまた大学の先生など専門家のところへ行って、接着剤の研究を依頼しました。

その一方で、紙の方も、業者に頼りきっていてはだめだと、自分で理想の台紙を作り始めたのです。
また、接着剤について知識を身につけたものですから、「サンドペーパーだけではなく、接着テープのようなものも作ってみよう。どこにでも貼り付けられるテープがあればきっと便利だろう。」と思い、現在我々が使っているような接着テープも作り始めました。

その後、さらに用途を広げ、単に紙を貼り合わせるのに使うのではなく、電気コードを巻いたりするのにも非常に便利だというので絶縁テープを作ると、これもまた爆発的に売れる。
さらにその次には、医療用のテープまで作って売り出すようになりました。

やがてエレクトロニクスの発展につれ、テープレコーダーなどの記録媒体として、録音用テープが登場します。
この録音用テープは、樹脂製のテープの表面に接着剤を塗り、その上に酸化鉄の粉を塗ったものです。
3Mの創始者は、「粉を均一にテープに塗ることなら、私の専門だ。」と名乗りをあげ、磁気テープの製造にも参入しました。

このように、彼は次から次へと自らの技術を応用して多角化を進めていったわけです。
友達に騙され、廃坑になった鉱山をつかまされたと知った時、おそらく彼はガツクリとその場に倒れたことでしょう。

しかし、その時につかんだ石を見て、なんとか利用しようと思った。
これをきっかけに、彼は次から次へと工夫を繰り返し、創造的な仕事を行い、今日の「3M」という大会社をつくってきたのです。

大発展を遂げた企業のほとんどは、このような経緯をたどっているはずです。
決して、初めから特別な技術があったわけではないのです。

コメント

川邉さん

(2015/08/01 09:45)

3Mという企業については、これまであまり意識してビデオテープなどを見ていなかったのでまったくと言っていいほど知らなかったが、創始者が騙されて廃坑を買い取ってしまったことから始まる創意工夫の連続は気持ちの良いほどのサクセスストーリーで、単純に1人の人間の物語としても面白いと感じた。

どん底にいながら、なんとか這い上がろうとするいわば悪あがきのような粘り強さで創意工夫を続けていくことが必要なのだと感じた。

油谷さん

(2016/05/09 13:52)

発想・ひらめき・行動力により、様々な道がが開けて行くと言う基本こそが発展途上の第一歩であると言う認識を改めて感じる内容と理解いたしました。
我々の能力は、種でありまた卵であり個々は、微々たるものである中、それを開花できるチャンス、タイミングを見極めれる存在でなければならないと考えます。

前田さん

(2018/12/27 19:07)

従来であれば価値のないものにも、世の中で必要とされているものを作り出すことができることが分かりました。

小泉社長

(2025/03/11 11:30)

第72回目《ボタ山を宝の山へと変えていった3M創業者の創意工夫》はいかがでしたでしょうか?

イメージング事業部は今ダブルパンチを食らっています。
① 物価高による値上げ
② 今年成人した子どもが前後10年間で一番少ない110万人に対して、コロナ後にもかかわらず今年生まれた子供が72万人

ところが、同じ写真業界でもゴルフの室内練習場のスイング撮影は右肩上がりで国も認める成長産業に成長しました。
3Mの社長のお話はとても参考になるのではないかと思います。

一番館はお取引先様のご関係から撮影にシフトするため、ラボエージェントを立ち上げました。
https://laboagent.com/

今後はラボエージェントが成長産業の写真撮影分野とソフト開発で大きくなっていくのだろうと思います。

鈴木さんにはお伝えしたのですが、少子化・女性の仕事について考えさせられるものがありました。


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