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第106回目

鮮明に見えてくるまで考え抜き、手の切れるような製品を作る / 見えてくるまで考え抜く

私たちが仕事をしていく上では、その結果が見えてくるというような心理状態にまで達していなければなりません。

最初は夢や願望であったものが、真剣にこうしてああしてと何度も何度も頭の中でシミュレーションを繰り返していると、ついには夢と現実との境がなくなり、まだやってもいないことまでもがあたかもやれたかのように感じられ、次第にやれるという自信が生まれてきます。

これが「見える」という状態です。
こうした「見える」状態になるまで深く考え抜いていかなければ、前例のない仕事や創造的な仕事、いくつもの壁がたちはだかっているような困難な仕事をやり遂げることはできません。

このことは事業を進めていくうえで、たいへん大事なことだと思います。
たとえば、オフィス事業部で大切な商談を始めるにあたってまず、営業の過程を思い描きます。

たとえば、こういうヒアリングを行い、こういう提案資料を使い、こういう比較資料を使い、こういうシステム構築をして、などとあらゆるプロセスを考えていきます。
それを私は「シミュレーション」と言っているのですが、その際、頭の中で起こりうる問題をすべて考え尽くすのです。

従業員さんにルートを任せるようになると、自分が直接携わるわけにもいかなくなり、各担当者に「ある会社から、こういう仕様のものを構築する依頼があり、すぐに見積りが欲しいと言われている。それはこういうふうにすればできるはずだから、それをヒントにして、後は○○さんが考えてやって、分からないことがあれば電話をください。」と営業を託すようになります。

しかし、重要な案件の場合そのまま人任せにして放っておくのではなく、私は自分でも頭の中でそのお客様のことを常に考えています。
実際にシステムの構成などはしていませんが、頭の中で構成やネットワークの設計を繰り返しています。

そうやって来る日も来る日も自分の頭の中でシミュレーションを繰り返していると、そのうちにあたかも商談が成立したかのように思えてきて、納品したイメージまでもが頭のなかに明確に浮かび上がってきます。
これが、「見える」という状態です。

そうしますと、次のようなことが起こります。
たとえば、若いルート担当者が「できました。」と、提案書を持ってくる。
そこで、「よし、できたのか、よかったな。」と確認するのですが、それは私が頭の中で考えていたシステムとは違うのです。

「これはダメだ。」と思わず私が言うと、「しかし、仕様は全て満たしています。」と、反発する。
そこで私は、「これはこれで、お客様が言った仕様の最低条件は満たしているかもしれない。しかし、考えているうちに難しいことが分かり、回避してお客様の最低条件を満たしたような構成ではなく、プロとして条件を満たすようなものを考えていたのだ。したがって、決してこのようなものではないのでこれはこれで残しておいてあともう1提案作ろう!」と言うわけです。

それは、自分の頭のなかに既に納品されたイメージができあがっていて、それと比較しているから言っているわけです。
考え抜き、「見える」ところまでいっていなければ、このようにシステム開発の結果を評価することもできません。

自分で考え、完成品がどのようなものであるべきかが分かっていないと、従業員さんが構成した製品やシステムを見ても、「まあ、これでいいだろう。」としか言えないわけです。
しかし、そのような「いまいちな」システムでは、お客様に受け入れられるはずはありません。
なぜなら、お客様はお金を支払いますから、私たちよりも努真剣にシステムについて考えているからです。

その時に、私はこのような表現を使いました。
「提案者は、手の切れるような商品の構成やシステムを作らなければならない。あまりに完壁で、あまりにも素晴らしく、気軽には触れることができないような、そのようなシステムを作るべきです。」
「手の切れるような」という表現は、写真で言うと、素晴らしい構図で撮影され、色も濃度も非の打ち所がない、素手で触れることのできないようなことを言っています。

それは、お客様が要求する基準以上の品質を持った写真ですが、私はテストプリントや集合写真の枚数焼きの時には「時間がかかってもいい、あまりにもきれいで素手で触れないくらい手の切れるような写真を努力を惜しまず現像することが、まずは各担当者にとって大切なことだ。」と常々言ってきました。

そして、この完璧な写真やシステムを作るためのプロセスとして、「見えてくるまで考え抜く」ということが必要になるのです。

自分でシステム開発を手がけているわけでもないのに、頭の中で繰り返し繰り返しシミュレーションを行うことによって、完成した姿が克明に見えてくる。
それが、「見えてくるまで考える」ということなのですが、結果が「ぼんやり」見える程度ではまだ不十分であり、「鮮明に」見えてこなければ考え抜いたことにはなりません。

そこまで徹底的に考え抜けば、あらゆる事業で必ず成功すると思うのです。

コメント

川邉さん

(2015/10/09 18:17)

>そうやって来る日も来る日も自分の頭の中でシミュレーションを繰り返していると、そのうちにあたかも商談が成立したかのように思えてきて、納品したイメージまでもが頭のなかに明確に浮かび上がってきます。
>これが、「見える」という状態です。

この境地にまで至るには3年あっても厳しいと感じる。
「見える」ようになるにはただ黙って待っているだけでは勿論だめだと思うので、たくさんの現場・仕事を経験し学びながら少しずつ「考え抜く」ための「思考プロセス」あるいは「知識」を得る必要があると感じた。


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