第141回目

利益を販売促進費に -コカコーラの例-

成功事例の3例目はコカコーラの例です。

私が小さい頃は商店街に住んでいましたので、津雲台7丁目ではお隣が駄菓子屋さん、津雲台4丁目では2件となりが酒屋さん、反対側の2件隣が駄菓子屋さんという環境で幼少期を過ごしました。

その頃のコーラは分厚いガラスのビンに入っていました。
何となく中身がラムネよりも少ないような感じもするし、ラムネよりも高かったのです。
ですから、私は普段はコーラを買わずにビー玉の入っているラムネを良く飲んでいました。

ところがご存じの通りコカコーラが市場を席巻して、ラムネはいつの間にか蹴散(けち)らされて我々の前から姿を消していきました。

本来なら、庶民でも飲めるように安く美味しいものでなければ売れないはずですが、コカコーラがそうした常識をくつがえしていくのを見て、私はたいへん驚きました。

その後分かったことですが、当時、販売店はコーラを売るのにマージンをたくさんもらっていたそうです。
また、店の前に「コカコーラ」と書いた看板を無償で立ててもらったりもしていました。

つまり、サイダーやラムネよりコカコーラをなるべく売るようにと、インセンティブをもらっていたというのです。

昔、夏祭りなどでは、こんな光景を目にしたものです。
夜店に大きな氷が置いてあって、その上にコカコーラのビンがいっぱい積み上げられており、若くて元気いっぱいの男性が「コーラはいかがですか?」と言いながら、冷えたコーラを売っている。
このように夜店の人が一生懸命に声をからして売ってもなお割が合う、ということからだけでも、多額の販売マージンがもらえたのだろうと想像できます。

高い値段で売るわけですから、利潤は大きくなります。
その利潤の大半を販売促進費に回し、宣伝広告などにも膨大(ぼうだい)な資金が使えるようにする。

逆に、薄利で売られたラムネはコカコーラに匹敵するような宣伝広告もできず、販売インセンティブも捻出(ねんしゅつ)できない。
そのため、結局市場から蹴散らされてしまったわけです。

つまり、コカコーラの戦略は高い売値ではあるけれども、そこから得られる利益を販売促進に有効に振り向けていくというもので、これが(こう)(そう)したのだろうと思います。

そういう意味では、値決めとは高いから悪い、安いから良いという単純なものではなく、どういう戦略に基づくか、そこにポイントがあるのだろうと思います。

コメント

川邉さん

(2015/11/23 10:54)
>コカコーラの戦略は高い売値ではあるけれども、そこから得られる利益を販売促進に有効に振り向けていくというもので、これが(こう)(そう)したのだろうと思います。
>そういう意味では、値決めとは高いから悪い、安いから良いという単純なものではなく、どういう戦略に基づくか、そこにポイントがあるのだろうと思います。

確かに、値決め一つとっても、高いから悪い、安いから良いという単純な考えではうまくいかない。
やはり商いは本当に難しいと感じた。


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