経費を極小にするには経費項目の細分化が必要
経営の面白さは、「経費を極小に」するということにあり、その対処の仕方で利益率に大きな差が出てきます。
経費を極小にするために私は様々な工夫をしましたが、その1つが経費項目の細分化です。
私は損益計算書の中の経費項目を、税理士の指示よりもさらに細かく分けていきました。
一番館にはイメージング事業部の製造部門があり、また、オフィス事業部の流通部門があります。
こうした部門が分かれている会社の場合、会社の原価を見ようと、たとえば通信費を調べてみても、普通は会社全体の通信費しか出てきません。
しかしそれでは、その通信費がイメージング事業部で使った通信代なのか、オフィス事業部で使ったものなのか、分かりません。
そういう状態であれば、いくら「経費を減らそう」と言っても、何の費用を、どこで、どれくらい減らすのかがハッキリしません。
「電気代や水道代を少なくしよう」と言ったところで、従業員にしてみると誰が何をすればいいのか、具体的にはまったく分からないわけです。
そこで、少しばかり手間はかかりますが、気になる項目についてイメージング事業部、オフィス事業部、ごとに請求書を分けていきました。
これでどの部門でどれだけの通信費を使っているかが一目で分かります。
さらに、スマートフォンや携帯電話、お店で使っている光ファイバーと光電話に分けます。
すると、スマートフォンや携帯電話が非常に高いことが分かります。
さらに個人単位にまで通信費を分けますと、通信費と通話料まで見えてきます。
すると、たとえば大手キャリアの常時接続プランで5,000円前後支払っているのに、通信料が0.2GBとかなり少ないスタッフがいることが分かります。
聞いてみると、外出先ではメールを確認するだけなのでインターネットはほとんど使わないと言います。
大手キャリアの常時接続サービスは高くて合わないことが分かりますので、プラン変更や弊社が販売代理店をしているOCNのモバイルONEなどに変更し、通信の削減をしていきます。
逆に、通話料の大変少ないスタッフがいることも分かります。
あまりにも少ないので調べてみると、他のスタッフよりガソリン代が高くついていることが分かります。
「オフィス事業部のあなたのルートでは、自動車を効率よく走らせないからガソリン代が他のルートに比べてうんと高くなっています。自動車で動く前にお客様へ電話をしてからもっと細かく効率よく訪問してください。」と言うこともあります。
水道光熱費についても、経費節約だといって社長が昼休みなどに会社の中を歩き回り、つけっぱなしになっている事務所や便所の電灯のスイッチを切って歩く光景を見かけます。
これは、従業員さんに節約意識を植え付けるのには効果があるかもしれません。
しかし、本当に節約の効果を上げようと思うなら、ただやみくもにスイッチを切るだけではなく、どの部門でどれだけの電気をロスしているかということを、具体的に事実として指摘できなければなりません。
ただ単に光熱費という項目を漠然と見るのではなく、ロスがいつどこで発生したかということを確かめてからその現場に行き、そこの責任者に理由を説明して電気なら電気、ガスならガスの削減を図るという処置が必要なのです。
しかし、実際はそのようなことはなかなかできません。
そこで私は、1ヶ月の電気の計算(使用電量×1日の使用時間×1ヶ月の日数×1kw1時間あたり28.7円)の仕方を伝えるようにしました。
2015年1月、関西電力から1kw1時間あたり28.7円に値上げのお知らせが届きました。
弊社では、110Wの蛍光灯16本を使っております。
110Wは0.11KWですから、0.11KW×16本×16時間×30日×1kw1時間あたり28.7円=24,245円かかることが分かります。
このように経費項目を細分化していき、さらに計算の仕方を伝えることで情報を共有し経費削減のご協力をお願いしております。
さらに無駄を見つけると、採算表を見ながら「なるほど、○○さんのここが問題だ。」と、よく指摘します。
つまり、「経費を減らしなさい」と大号令をかけると同時に、現場に行った時に「これが問題だ」ということが担当者の目にも見えるように、当の本人が具体的に気がつくくらいに細かく分解した経費項目で見ていくことが、経費を極小にするためには必要なのです。
コメント
小泉社長
(2019/07/11 12:54)
第160回目《経費を極小にするには経費項目の細分化が必要》はいかがでしたでしょうか?
ご家庭では、少ない人で電気代が1,000円くらい、多い人で4万円くらいだろうと思います。
毎月の電気代が1,000円以下のスタッフについては、大変ゆるい項目だったと思います。
逆に、毎月の電気代が3万円から4万円というご家庭では、おそらくクーラーを24時間つけっぱなしのご家庭だと思いますが、この項目はクーラーはすぐに消すわ電気の照明を消すわでとても厳しい項目であると思います。
今までご両親から電気代についてとやかく言われなかったスタッフについては、初めて一番館で電気代についてとやかく言われることになるのでびっくりされていると思いますが、1日も早く慣れていただけますことを祈っております。