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第169回目

まずは能力の進歩を信じること

子供ができた頃か、従業員さんを雇うようになった頃、何もできなかった子供がハイハイをし、パパ・ママと呼び始め、その内たって歩くようになり、走ったり、三輪車に乗ったり、こまなし自転車に乗れるようになり、みるみる成長します。

大人になった自分は成長していないなあと考えていたら、売上げは伸びているし、利益も増えてきている、「あっ!こうしてみると成長しているな。」と実感した頃に、この「能力を未来進行形でとらえる」という言葉を知り、壁にぶち当たっている従業員さんに次のように伝えるようになりました。

営業に行くと必ず難しい要望を要求され、そのようなものでしか注文はもらえません。

たとえば、大手写真館のカメラマンからの要望は、当時名古屋には老舗(しにせ)のラボがありました。
そんなところへ、大阪の小さな零細企業である一番館が写真館様へ売り込みに行くわけですから、名古屋の老舗のラボがすでに作って納めておられるようなものの注文は当然いただけません。

相談を受けたり頼まれたりするのは、そういう老舗ラボが「いや、これは難しい。ウチではできません。」と一歩退かれたものばかりです。
そういう難しいものであるにもかかわらず、「新しい写真販売の案があるので、プリントして梱包して出荷できるか?」と言うわけです。

大手メーカーとは、資金力でも技術力でも雲泥(うんでい)の差があるのに、大手が断ったようなシステムを構築し従来の単価で小回りを効かせなければならない難しい話ばかりが来る。
そこで、「いや、それは無理です。」と言ったのでは話になりません。
資金力も技術力もない零細企業が、引き合いに対して「できません。」というようなことを言っていたのでは、とても生き残っていけないのです。

私も、何とかしないと会社が成り立たないと思っていますから、無理をして「何とかしましょう。やりようによってはできるかもしれません。」と答えることになります。
すると写真館の方は「かもしれませんなら結構です。」と言って、それ以上話も聞いてくれなくなるものですから、私はさらに勇気を奮い起こして「いや、できます。」と言わざるを得ませんでした。

背に腹は代えられない、何としてでも注文が欲しいものですから、できるあてもないのに「できます。」と言って注文をもらい、事もあろうに「前日までに注文をいただいた分は翌日には必ず出荷します。」という約束までして帰って来るわけです。

会社に帰ると、数少ないスタッフたちに「かくかくしかじかの相談を受け、“できます”と言って注文をもらってきた。今から頑張って、今までやったことはないけれども、こういう手法でこうやったらできるんじゃないかと思う。早速、実験にかかろう。」と言います。
するとみんなが、「小泉さん、それは無理ですよ。」と口を揃えて言うわけです。

事実、そういった難しいものは過去に全然やったことがありませんでしたし、当時の一番館の技術力では無理と思われても仕方ない状況ではありました。
しかし、それを無理だと認めてしまうと話が台無しになってしまいますから、オペレーターたちを納得させるために、「我々の能力を未来進行形でとらえよう」ということを言い始めたわけです。

今の能力ならできないのは自分も承知している、しかし「お客様も新しい構想で動いていて、徐々に注文が入ってくるだろうから、3ヶ月のうちには仕組みを整えて注文をいただきながら進歩すればできるはずだ。」
私はそう言いました。

コメント

鈴木さん

(2019/09/19 13:34)

昔、先輩が大人びて見えました。
でも自分が先輩と同じ年齢になった時、その時に感じた“大人な感じ”にはなっていないな…と思ったりします。
それは自分でも気づかない内に成長しているという事なのか、本当に成長していないのか。
前者であると信じたい。
自分の成長を感じる事は難しいですが感じれるようになりたいです。


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