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第211回目

まずは個人の特性を生かして機能別に分けて育て、徐々に全体を見ることができる人材に育てる

弊社のオフィス事業部の仕事は、提案型セールスという形で、会社やシステムを担当する方々にシステムの改善提案資料をつくってそれを持っていき、「現在お使いのOA機器は、こうすべきだと思います。」とシステム提案して認めてもらい、注文をもらうという仕事です。

注文をもらうと、早速自分が提案したものに基づいて各メーカーや外注業者に発注していく。
適当なメーカーや外注業者を選ぶと、そこに自分が提案した通りに作業を行ってもらう。

その上で、自分が提案した通りにうまくいくかを最後まで工程管理する。
こういう商売をしているわけです。

それで見事にお客様や大手メーカーから認められて、注文をもらうようになった。
それで会社がうまくいき、少しずつ発展をしてきました。

そういう提案型営業の仕事は誰でもできるわけではありません。
今までは、それを私が自分でやってきたのです。

つまり、提案から始まって受注して、構成から納品まですべてメーカーや下請けを使いながら自分でやってきました。
同じように新入社員さんにもやってもらいたいのですが、まったく同じようにできません。

失敗が重なる中でそういうやり方は非常に難しいということを重々(じゅうじゅう)感じて、ファンクション、機能別に分けた仕事をすべきではないか、という考えがよぎってきました。

そこで、機能別に分けてみましたが、バトンパスミスがどうしても起こるのでやはり一気通貫(いっきつうかん)でできるようにしたい。
創業型経営者というのは、だいたいそういう悩みをもっています。

これから部下を持つ方は、私と同じようにそんな悩みを持つことになります。
自分でやってきたものですから、自分がやったのと同じことをやるような事業部や人材をつくっていきたいわけです。

ところが、だいたい20人未満の会社に、そんな賢い人が来るわけがないのです。
賢いというのは、本人が認めようと、認めまいと結果が示しています。

お客様では考え付かないようなこと、お客様の周辺でモノを納めている競合他社なども考え付かないようなこと、そういうクリエイティブなことを考え付いて提案をしたから、納品後お客様からリピート注文がくるわけです。
ですから、そこそこスキルが必要になります。

新入社員や1担当者に私や責任者の方と同じことをやらそうとしても、非常に苦しむだけです。
最初の頃は、本当に悩みに悩みました。

孫悟空が毛を抜いて息を吹くと、自分と同じ分身ができるという話があります。
あの話を聞いて、毛でもなんでもいい、私と同じ分身がパッとできないものかと思ったことがあります。
これは笑い事ではなく、真剣にそう思いました。

そのくらい人がほしい。
優秀な人がほしい。
毛を抜いて孫悟空みたいに、自分の分身をたくさんつくれないものか。

これは笑い事ではなしに、そのくらい真剣に人が欲しい。
でなければ会社は大きくなれない。
そのように悩んでおりました。

責任者や管理職になる人はある種の才能があり、普通の人よりも才能を持った人ですから、新入社員さんや1つの担当がやっとの人に同じことをやらせようとするとどうしても無理が出てきます。

いろいろな会社があると思いますが、まずはヒアリングをしていく中で問題点を発見し、その改善提案を考え、そして資料をつくることが一番重要です。
そこに私は管理職さんの発揮する場所があるのだと思います。

全国の会社をくまなく、頻繁に歩き回り、どこに問題点があるのかを調査し、資料をたくさん集めて提案する。
その会社の改善提案の資料作成を責任者の直轄(ちょっかつ)でやるべきです。

一方で、その提案資料を持って、それぞれの会社、またはメーカーの子会社に営業に行って注文を取ってくる機能をつくる。
つまり、まずは改善提案と営業受注という2つを別の人がやるのです。

そして注文が取れれば、提案資料に基づいて、それを具体的に設計図面に落とし、外注業者を使って施工し、管理しながら完成させていく。

つまり、一気通貫で行う仕事を、1人のトップが1つの事業としてすべてを見るのではなく、場合によってはシステムの「ヒアリング」「改善提案」「営業受注」「外注業者の手配と施工管理」「設定およびサポート」、この5つの部門に切って、2つから5つまでの機能に分けていくべきです。
その上で、誰がやれそうかを考えていく。

たとえば、営業センスはないけれども、改善提案と外注業者の手配と施工管理だけはできる実直(じっちょく)な人がいれば、これを担当してもらう。
また、営業・受注ということに如才(じょさい)ない営業センスがある人であれば、その人には営業を担当してもらう。

つまり、そういう機能別に担当を決めることが、やはりどうしても必要になると思います。

ところが営業先のお客さまは、全国に散らばっています。
そのため、営業を1人決めても、人脈がない中で、全国を走り回らなければならない。

だから、組織を横へ切った場合には、どうしても営業の人が兵庫県にも行くし、堺市にも行くし、東京にも行く、というようなことになって、守備範囲が広くてなかなか難しいわけです。

つまり、地理的に大変難しい問題を抱えることになります。
だからといって、事業を全部1人の人に見てもらうことは不可能です。
今までさんざんそれにこだわってきたのですが、それは諦めて、機能別に分けて、それぞれのところでやれる人を育てていくべきだろうと思います。

先ほど言いましたように、私もそういうことで悩んで、今言ったようなことをしてきました。
そうして、それぞれのところで専門家を教育し、育てていく。

その人たちがだんだん自分の専門分野で非常に立派な仕事ができるようになっていくに従って、「あなたはシステムの改善提案もできるのですから、今度は提案だけをするのではなしに、営業・受注まで見てください。」という形にしていく。
そして、本当の意味で事業全体を見られる人を育てていくしかありません。

たとえば、一番館のイメージング事業部であれば、プリンタのメンテナンスから新規開拓、製造、受注まですべてを一気通貫で見ることができるイメージング事業部の責任者を育てていくわけです。

最初は、それぞれの道の専門家に仕上げる。
そして1つのものを極め、それに精通した人に次の機能も学んでもらい、少しずつ守備範囲を広げていく。
非常に能力のある人に、最終的に全体を一気通貫で見てもらうようにする。
そのように人材を育てていくしかないと思います。

私が悩んだことは、今後部下を持つあなたが必ず悩まれると思います。
「自分がやれることであったため、他の人にもやってもらわなければ困る。」という考えはできません。

しかし、責任者の方がやってきたことを誰でもできるものではありません。
その証拠に、今までであれば、このような悩みを誰にも相談できなかったのですが、あなたのような人材が出てきたので悩みをお話しできるようになったのです。

才能をあなたが持っておられるのです。
その才能を持っている人をたくさん求めようと思っても、それは難しいことです。

今言ったように、組織を横に切っていくことが難しいのは重々分かっていますが、それしかないのだと決めて、その問題点を解決する方法を考えることが大事だと思います。

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