自分の食い扶持は自分で稼ぐ / 自らの道は自ら切りひらく
私たちの将来は誰が保証してくれるものでもありません。
たとえいま会社の業績が良かったとしても、現在の姿は過去の努力の結果であって、将来がどうなるかは誰にも予測できないのです。
将来にわたって素晴らしい会社にしていくためには、私たち1人1人が、それぞれの持ち場や立場で自分たちの果すべき役割を精一杯やり遂げていくことしかありません。
誰かがやってくれるだろうという考え方で人に頼ったり、人にしてもらうことを期待するのではなく、まず自分自身の果すべき役割を認識し、自ら努力してやり遂げるという姿勢をもたなければなりません。
どんなに困ることがあっても、誰も助けてくれない、自分に任せられた仕事は自ら解決し切りひらいていかなければならない時があります。
このようなことは、零細企業に勤めれば誰しも分かっていることだと思います。
いわば、「独立自尊の精神」というものが必要だというわけです。
経営者というのは、元々独立自尊の精神を持っています。
ところが、従業員さんはそうではありません。
困難な局面を迎えても、詰まるところはサラリーマンですから「社長が何とかしてくれるだろう。」と考えるわけです。
うまく行っていない会社には、独立自尊の精神を持たない、つまり、自分の食い扶持も稼げないような、会社に依存した社員が大勢いると思います。
逆に、自分の食い扶持を自分で稼ぐ、それどころか、会社に利益を納めてくれるというような社員が大勢いる会社は、うまく行っていると思います。
一番館では、「時間あたり採算制度」という個人や担当部署をできるだけ小さな単位に分け、それぞれの担当者が責任を持って管理会計を行うという手法を取り入れています。
時間あたり採算制度では、よく頑張ったからといって1個人にボーナスをはずんだり、実績が悪いからと賃金をカットするようなことはしません。
そういうことをしては、不正に利益操作が行われたり、かえって社員の心がギスギスしてしまうからです。
ボーナスをたくさんもらえば、その人はもちろん頑張るでしょう。
しかし、いつまでも好実績は続かないものです。
もし実績が悪くなり、ボーナスや給与を減らされれば、膨れっ面をするに決まっています。
また、いつも実績が悪い社員はひがみ、実績の良い社員をねたむようになってしまうでしょう。
そのように、人の心がささくれ立つようなことはしたくありませんから、業績の良かった人にも、あまり良くなかった人にも、ボーナスなどであまり大きな差をつけるようなことはしていないのです。
ところが、真面目に一生懸命に頑張っても一緒、頑張らなくても一緒、さらにはちょっとサボっても一緒となると、どうしても「サラリーマン」に堕する人が増えてきます。
しかし、従業員さんには、経営者と同じように、自らの道は自分で切りひらくのだ、自分の食い扶持は自分で稼ぐのだ、いや、それ以上に稼いで会社や社会に貢献するのだ、と考えてほしいのです。
そのために一番館では、1時間あたりどのくらいの付加価値を生んだのかということを示す「時間あたり採算制度」を採用しています。
たとえば、1時間あたりの人件費を1,500円(時給1,000円×社会保険1.25×残業代1.25)とした時に、1時間3,000円の付加価値を出しだとすれば、差し引き1,500円分は会社に貢献していることになります。
そして、自分達の給料分を遙かに超える価値を稼ぎ出し、会社に貢献してくれたスタッフは、みんなから賞賛され、会社からありがとう!と感謝されます。
従業員さんに経営者と同じような気持ちを持ってもらうことは、非常に大切なことです。
もし、全従業員が経営者と同じ意識を持つようになれば、これ以上強い会社はありません。
このために私は、一番館の行動指針を通じて対話を繰り返し、みんなの心を高めるよう、常に心血を注いでいるつもりです。
コメント
川邉さん
(2015/10/04 12:51)
>真面目に一生懸命に頑張っても一緒、頑張らなくても一緒、さらにはちょっとサボっても一緒となると、どうしても「サラリーマン」に堕する人が増えてきます。
上記のような考え方が受け入れられるようになってしまうと、頑張らない人はますます頑張らなくなり、頑張っている人も頑張ることをやめてしまい、会社全体が傾いていくのだろうと思う。
そのようなことにだけはならないように1人1人が責任を持って仕事に取り組まなければいけないのだと感じた。
小泉社長
(2023/03/13 19:38)
経営学部出身の方であれば第102回目の《自分の食い扶持は自分で稼ぐ / 自らの道は自ら切りひらく》という内容に出てくることは日常ではありますが、文学部の方やデザイン系の学部の方はびっくりされることがあります。
経営学部や経済学部商学部の方であれば財務会計管理会計という言葉を聞いたことがあると思います。
会計には財務会計と管理会計があります。
財務会計は税務署へ決算書の報告をしたり株主に報告したりするために作られる会計処理になります。
管理会計は社内の効率化や売上アップを図るために独自の指標で作られる会計処理になります。
管理会計は現状把握し計画を立て本来あるべき姿にするために改善改良を行っていきます。
このようなことが普通の会社では行われています。