度量のある人間は努力し、向上していく
会社というのは、一度発展が始まると誰かが止めない限りずっと発展していきます。
会社が発展していくと、どうしても人材が育っておらず責任者が不足してきます。
ここで、責任者が育っていないので発展を止めるか、それとも外部から責任者として活躍できる人をスカウトしてくるか選択することになります。
当然、プロパーのスタッフと相談することになります。
「私は一番館という会社を発展させていくために、優秀な人材を外部から連れて来ようと思いますが、いかがでしょうか? 優秀な人を連れてくれば、プロパーの皆さんの上にその人が就くかもしれません。そういうことでいいでしょうか?プロパーのスタッフのご意見をお願いします。」と言うようなことをお尋ねすることになると思います。
質問に対してプロパーのスタッフは、「社長、それは困ります。我々の上に外部の人が来て、のさぼられたのではたまったものではありません。」というのであれば、連れてくるのはやめます。
だけど、企業というのはそこを治めている人間の器分しか大きくならないと言われています。
もし、そういう優秀な人も呼んできたくないというのなら、一番館はその程度の企業で終わるかもしれない。
それでみんながハッピーだというなら、そうします。
「いや、それでは困る。一番館という会社をもっともっと立派に、日本でも有数の会社にしたい。だからそのような優秀な人間を連れてきてほしい。たとえ自分の上に就かれてもかまわない。会社を立派にするのには、そういう優秀な人間がいなければならない。だから、喜んで迎えましょう。」そう皆さんに言っていただけるならば、呼んできます。
しかし、それが嫌であればしません。
その代わり、会社は大きくなりません。
「企業というのは、そこを治めている人間の器分しか大きくなりませんから、さらに会社が立派になるということはあり得ない。どっちを採りますか?」
こういう話をすることになると思います。
発展していく会社の社長のお話を聞いておりますと、みんな「後者の方で結構です。そういう優秀な人が来て、我々の上に座っても構いません。」となるようです。
そこそこ発展した会社のプロパーのスタッフは、それだけの度量のある人たちですから、自ら努力もします。
京セラさんの場合、1989年(平成元年)に社長になられた伊藤氏は、岡山出身で工業高校を卒業し、京セラをつくる前の会社で創業者稲盛氏の研究助手を務めた人です。
伊藤氏と稲盛氏と一緒に会社を始めて1兆円企業を作られたわけです。
その伊藤元社長が、そうそうたる大学卒の幹部がいる中で社長をやっておられました。
それは、ただ創業メンバーだからではありません。
途中からきた人も含めて、相当優秀な連中でも舌を巻くほどの人物だからこそ、社長もやれるわけです。
そのように「結構ですよ。」と言う度量がある人は、努力をしていかれます。
ですから、会社全体が向上していかれるのだと思います。