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第195回目

1対1の対応は企業の透明性を高め、不正を防止する

ある商社の方が次のように話されるのを聞いて、びっくりしたことがあります。

決算月の3月に入ると、それぞれの事業部長は予定していた売上げや利益を達成させるために、「うちの売上げが立たず困っている。誠にすまんが、3億円ほどそちらから売上げを立ててもらえないか?」と取引先に頼み込むそうです。

3億円の売上げを立てるといっても、品物などないのにどうするのだろうと思っていたら、こういうことなのです。

取引先には仕入れ伝票を発行してもらい、自分のところは納品伝票を立てて、出荷したことにする。
そして4月の半ばくらいに、今度は返品伝票を切ってもらう。

つまり、今期の分を操作して、来期で辻複を合わせるというわけです。
それを聞いて、何ということだと私は呆れかえりました。

相手と組めば、伝票1つで何だってできるではないか。

こんなことが行われているとなると、大会社が発表する売上げの数字というのは嘘っぱちだということになります。
品物がないということは経費が発生しない、つまり、売上げは100%利益になるわけです。

このような操作は、売上げのみならず、同じ金額の利益をもかさ上げすることになるのです。
さらに一番の問題は、業績の悪い部門の着手が遅れることになることです。

私は、経営数字というものは経営者と従業員が見えてくるまで考え抜いて創意工夫をして作るものだと思っています。
つまり、不正をして作るものではなくて、経営者と従業員の「これだけの売上げをあげたい」という意思でつくるものです。

それが、実際には伝票操作をしながら都合のいいように作っている。
中小零細から大会社に至るまで、このような粉飾を行っている経営者や従業員は多いかもしれません。

品物がないのに伝票だけが動くことなどあり得ない。
また、何よりも粉飾決算を許すようなことは、絶対にあってはならないのです。

そのために私は、1対1対応の原則の必要性を訴えているのです。
たとえ社長であろうとも従業員であろうとも、不正ができないように、つまり、経営者や従業員自身を縛るためにも、1対1対応の原則を設けたわけです。

またそれは、周りから見た場合、「その企業ではフェアな決算が行われている」という、企業の透明性を証明することにもなるはずです。
企業経営の透明性を高めるためにも、この1対1対応の原則は非常に大切なのです。

コメント

小泉社長

(2015/12/19 01:11)

自分の都合の良いように利益を操作することはあってはならないことです。
上場企業の代表としては、「ライブドア事件」「オリンパス事件」「日興コーディアル事件」「東芝事件」などがあり、投資家を欺くような利益操作が行われていました。

このような自分に都合が良いように利益を操作することはあってはならない、ということを常日頃から肝に銘じておかなければならないと思う。

川邉さん

(2016/02/19 09:39)

嘘は泥棒の始まりとはよく言ったもので、粉飾決算により株主を騙して利益を得るという所業は泥棒のそれに他ならない。
穴の開いた船底に薄い紙で蓋をするような、その場しのぎにしかならない行為では結局自分の首を絞めることになるのだということは、上記コメントの上場企業の事件を見ていれば分かる。


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