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第080回目

公私のけじめを大切にする

仕事をしていく上では、公私のけじめをはっきりつけなければなりません。
プライベートなことを勤務時間中に持ち込んだり、仕事上の立場を利用して取引先の接待を受けたりすることは(げん)(つつし)まなければなりません。

勤務時間中の私用電話の受発信を禁止したり、仕事を通じてのいただきものを個人のものとせず、みんなで分けあっているのもそのためです。
これは、ささいな公私混同でもモラルの低下を引きおこし、ついには会社全体を毒することになってしまうからです。

私たちは、公私のけじめをきちんとつけ、日常のちょっとした心の緩みに対しても、自らを厳しく律していかなければなりません。

私は、会社をつくり従業員を雇うようになってから、このことを厳しく言い続けてきました。
極端なことかもしれませんが、一つの例として、勤務時間中の私用電話は、受発信とも禁止しています。

会社にプライベートな電話がかかってくることも、また、プライベートなことに会社の電話を使うことも一切許していません。

社内では、先ほどお話しした「有意注意」で、みんな真剣に仕事をしているわけです。
そんな時に、プライベートなことで友人から電話がかかってきたからと、簡単にそれを取り次いで「次の日曜日に遊ぼう。」などと話をしている。
そんなことでは仕事にならないわけです。

個人の携帯に友達から電話がかかってきても取らずにぐっとこらえる。
そして、お昼休憩など休憩時間内に電話を済ませる。
勤務時間中は必死に、真剣に仕事をして貰わなければ困る。
そう思っていますので、公私のけじめをつけるということについては非常に厳しくとらえています。

また、私が「公私の区別をつけろ。」と厳しく言っている背景には、もう一つの理由があります。
それは、「一事が万事(いちじばんじ)」と言うように、一つ許せば際限なく公私混同が起こっていく怖れがある、ということです。

たとえば、仕事上の「役得」ということがあります。
職務上の自分の立場を利用して個人的にうまい汁を吸う。
たとえば、会社で大口の発注を行う立場にある人間が、注文欲しさに何とか取り入ろうとする売り手側から、盆暮れの贈り物を個人的に受け取ったりすることなどがそれにあたります。
売り手の人間にとって、発注者に良い印象を持ってもらおうと思うのは当たり前のことですから、このようなことはそう珍しくはないわけです。

そうすると発注者は、「自分はそういう立場にあるのだし、まあ菓子折のひとつや果物箱のひとつくらいいいだろう。」と思って、ついつい受け取ってしまう。
ところが、最初は500円や1,000円の菓子折ひとつだったのが、だんだん高価な贈り物を受け取るようになっていく。

そして、一度そういう役得を経験してしまうと、それが習い性として身についていって、人間が次第に(いや)しくなっていくのです。

つまり、()なる人間、卑しい人間が、会社の中で育ってしまう。
人間の中で一番レベルが低いのは、「卑しい人間」だと私は思います。
作家の城山三郎さんの作品に、「()にして()だが()ではない」という本があります。
つまり、礼儀作法を知らない「野人」であっても、「卑しい人間」であってならないということです。

人間として一番低俗であるこの「卑しい人間」を育てるようなことがあってはなりません。
そのためには、厳格すぎるくらいに、公私の分別をはっきりする必要があるのです。
それゆえに私は、盆暮れに送られてくる仕事を通じてのいただきものは、会社全体でまとめるようにし、後で全社員で分けるようにしました。
そして、一切個人として受け取ることのないよう、社員に強く言い聞かせてきたのです。

本来なら全部断るべきなのでしょうが、それではカドが立ちすぎるという場合もあります。
それならば、会社として頂戴し、全社員で分け合うようにすれば良いと考えたのです。
堅すぎると思われるかもしれませんが、そうすることによって、私は会社のモラルを守ってきました。

会社の経営に携わって15年になりますが、そういうルールはどれほど厳しくしてもしすぎることはないと実感しています。
人というものは、自分の欲望を満足させるためには、仕事上の立場さえ利用しかねないものだと、これまで高額商品を購入したりしているうちに分かってきました。

過去の恥をさらすことになりますけれども、ある会社からシステム構築の依頼があり、会社に報告もせず、自分勝手に仕事をして自分の小遣いにしている従業員がいました。
ある時、自分勝手にしていた仕事でお客様のシステムをダウンさせてしまい、私に泣きついてきて不祥事が発覚しました。

以前勤めていた大手の有名メーカーでは、不祥事はブランドイメージを低下させるのでなんとしてでももみ消すのだと、いろいろなもみ消す方法を私に教えてくれていました。
しかし、私は弊社の従業員であっても個人が犯した不祥事ですので一切助けませんでした。

不思議なもので、その従業員から1週間もたたないうちに他のお客様からも不祥事が出てきました。
その従業員は会社にいることができなくなり辞めていきました。
どんなに些細なことであっても、役職や仕事を通じてうまい汁を吸おうとする行為を許してはならないのです。

日頃から小さな不正を黙認していれば、事はどんどん大きくなっていって、さらに罪を深くしてしまうことになります。
そのような罪を作らせてはいけませんし、そもそも会社の従業員を卑しい人間に育てていくようなことがあってならないのです。

会社の立場を利用して個人的に利益を得るということは、仲間に対する「背任行為」です。
心をベースとした経営を目指し、社員同士の結びつきを大切にする一番館では、この「公私のけじめ」ということを、非常に大事に考えています。

コメント

小泉社長

(2015/08/09 11:14)

第80回目《公私のけじめを大切にする》はいかがでしたか?

誰でも分かりやすい内容で伝えておりますが、社内恋愛についてはたいへん難しい問題になることがあります。

社長としては社内恋愛から結婚までしてくれるとたいへん喜ばしいことなのですが、破局を迎えた場合には第7回目の《建設的な提言ができる企業風土をつくる》でお話をしましたような、根も菜もない噂をばらまいて人を(おとしい)れようとするとんでもない事件が発生したり、両方とも退職するような事態に発展することもあります。

弊社のような零細企業では他の支店に飛ばすこともできませんので、会社として基本的に社内恋愛は禁止と言わなければなりません。
ただし、社内恋愛中は今まで以上に仕事を頑張り、破局になっても社内恋愛中以上に仕事に没頭していただけるのであれば社内恋愛は容認しております。

お話は変わるのですが、お盆休みやお正月休みくらいはゆっくりしたい方もいると分かっているのですが、以前はお休みの日にも一番館の行動指針を送っておりました。
送信している理由はいろいろとあるのですが、直近では2012年の早々に内定を出した子が出勤初日にクリーニング屋さんに「新人の○○です。よろしくお願いします!」と言って入っていく事件がありました。

Hさんの退職後にクリーニング屋さんに教えてもらって知ったのですが、私も初日の印象と面接に来た時の「1日も早く御社のお役に立てるように頑張ります!」といってくれたHさんの印象とはまったく違う人になっていたのでびっくりしました。

内定を出して10ヶ月くらい空いてしまうと、遊びが中心になってしまってどんな仕事をするのか忘れてしまうようです。
お正月休みのような状態が10ヶ月も続くと、社長をしている私でも仕事を忘れてしまうと思いますので仕方がないと思います。

そんな理由から、お盆休みやお正月休みであっても弊社の行動指針を送っておりました。
また、大卒の新卒の方には3月頃に新入社員研修にも行ってもらっています。

さらに、日ごろ忙しくて行動指針の共有がうまくできなくて昇給できなかった方や仕事の取り組み方について勉強したい方のために送っておりました。

しかし、精神的に参っているスタッフにも気づかず送信しているのは問題に感じておりました。
そこで、2015年度からは社内報に切り替え、既読がつくようになり、コメントができるようになり、goodjobのボタンを押せる様になりました。
社内報に切り替えたことによりどこまで読み進めてもらっているのか分かるようになりました。

2021年度、GRIDY(グリッディ)が有料化になったため現在は自社ホームページの1サイトに行動指針を掲載し、パスワードをかけて運用しております。
1回(年)目は小泉と行動指針を共有し、2回(年)目以降は先輩スタッフと共に学びあっていただいております。


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