倒産を察知してすべきこと
もう1つは、売掛金が3ヶ月分たまっているような状況です。
これは悪いケースで、相手の様子もおかしいという時です。
さあ、そうなって相手の方も資金繰りが悪くなって倒産前になってくると、もう火の車ですから、回収する余裕はまったくありません。
私もそういうケースが今までの経営の中で5~6回くらいありました。
私もまだ若かった頃でした。
売掛金が3ヶ月も4ヶ月もたまっていたのです。
直近で納めたものしかないわけですが、それを持って帰っても売掛債権の何分の1の回収にもなりませんが、少なくともそういうものを頂戴して帰ってくるのです。
また、相手先のトップの人に会って、「もし御社が倒産でもすると、ウチは大変なことになってしまいます。今代金が払えないなら、何か品物でもいいから頂戴できませんか?」と言って訴えるのです。
相手先も倒産しても後々の人生において再起をしなければなりません。
そうすると、いろいろなお付き合いの中でこの人たちと将来もお付き合いしなければならない可能性があれば、迷惑を少なくしてあげなければ、将来自分がビジネスをする場合でも困ると思われるはずです。
そうした話をトップとするのです。
急にではなく、そこにいくまでの間に過去のお付き合いがいると思います。
その上でそうした話をして、「過去に大変お世話になったし、今回もご迷惑をかけることになるが、債権者が押し掛けてなくなる前に、わずかな金額にしかならないかもしれないが、それだけでも持って帰ってください。」と言うようなお話をしてきてほしいのです。
つまり、おかしいという時には相手先に乗り込んでいって、相手先のトップに会って、情に訴えるのです。
相手の人も以前から良くしてもらっていたから、そう迷惑をかけるわけにはいかない、なにがしかのものでも持って帰ってくれと言われるのが関の山です。
私も、普通はもらわないものを、経営者から頂戴したことが2~3回あります。
やはり、相手先の会社を見るとうまくいきそうにないということが分かります。
注文をもらわないどころか、もらった売掛金も早く回収してチャラにしたいと思います。
営業にも注文を新しくもらうのをやめ、回収に走ってもらいます。
そう決断して、「そのお客さんとの取引は、もうやめよう。」と言います。
そう言ってうまく切り抜けて良かったなと思うと、こっちが抜けた後に、競合会社がわれわれの分の注文を取っているわけです。
競合会社が今度はババを引くのだろうと思っていると、案に相違してその会社がうまくいっているのです。
そして、その競合会社もどうも喜んでうまくいっています。
すると、営業の方から「社長、あれはまずかったですね。相手が困った時に助けてあげれば良かったのです。あの時に助けておけば、ウチの会社はもっとうまくいっていたのに。」と言われます。
こう言われるとひと言もなくて、やはり助けてあげれば良かったと思ってしまいます。
そう思うものだから、結局そういうことができないケースが出てきます。
それでダラダラと付き合うと、最後の倒産というところでせいぜい債権者が押し掛けて来る前に走っていくのが関の山です。
これが大体われわれ凡人の方法だろうと思います。
うまく抜けたつもりで良かったというケースよりは、抜けたのが早すぎて得意先を1つ失ったというのが普通ではないかと思います。
これは大変難しい問題です。
こうした失敗から、現在の取引は納品前に現金決済に変更をして、できる限りお客様の復活のために尽くしていく方針で実行しています。
重要なことは、売掛金の集金は恥ずかしいことではないということです。
集金のことを言うと、どうしても営業は営業がしにくいのです。
注文取りはできるが、「集金」「集金」と言いすぎるのはよくないというのが一般の常識ですが、集金というのは決して恥ずかしいことではありません。
お金を頂戴することは、正々堂々とした営業行為だということだけは、しっかりと認識しなければならないと思います。
コメント
鈴木さん
(2019/08/28 13:33)
売掛は基本的に相手との信頼関係のもと成り立っている事ですので、安易に「売掛」を受ける事はできないと思いました。
もし相手が支払いできず、「待ってくれ。」といわれた場合の判断も難しいと思いました。
小泉社長
(2022/10/15 18:15)
第150回目《倒産を察知してすべきこと》はいかがでしたか?
小泉が経験した中で一番意外だったのが株式会社アサダ様でした。
バブル絶頂期に自社ビルを建てバブル崩壊後大変苦しい経営に陥る訳なんですが、社長も従業員も認識しており全員が一丸となって会社の立て直しを行っていた会社です。
もうダメだという時期から7年から8年くらい存続しておられました。
株式会社アサダ様で7~8年もちましたので、JALなどV字復活するのを見ていると珍しくないのだろうと思います。
なので、社長がもうダメだと言っていて従業員もダメだと言っているのにお取引を継続しておかしいと思われるかもしれませんが、全従業員でなんとか復活しようと頑張っている会社は意外と復活することも珍しくないという経験をみているからです。
倒産すると聞くまではなんでだろうと不思議だったのですが、倒産後の吉村社長からの恨みつらみ話を聞いてこれは絶対ダメだったなと思った会社は株式会社八木測量様でした。
創業者が引退し吉村さんが社長を引き継いだ訳なんですが、その際主力スタッフが退職してしまい、残されたスタッフが一生懸命仕事はしているのですが、大変どんくさかったり一生懸命仕事をしているふりをして社長のいないところで実はのんびりしていたり、吉村社長も赤字体質で困っていることも一切倒産するまで言わなかったケースです。
意外と持ちそうで持たなかったのが株式会社ペリカセブン様です。
ペリカセブンさんは、食材をご自宅まで配達するコープ生協さんのようなお仕事をされていた会社でした。
スタッフと管理職は大変育っていたので2代目社長がバカでボンボンで遊びまくっていた訳なんですが、なんとか維持できるのかなと思っていたのですがあっけなく倒産しました。
社長が危機感を持っており、従業員は危機感を持っていない会社は倒産する場合とV字復活する場合に分かれます。
写真感材を取り扱うダイヤミックは、何かあったら親会社の三菱製紙が何とかしてくれるから大丈夫と赤字を垂れ流しにしていました。
その後ダイヤミックはコダックダイヤミックとなり、三菱製紙は助けることなくコダックダイヤミックを切り捨てなくなりました。
従業員は木村さんを社長としてJoyという会社を作り現在に至っております。
小泉社長
(2023/09/24 15:22)
倒産をウォッチする 参考YouTube