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第142回目

健康を売るという大義名分 -ヤクルトの例-

最後はヤクルトの例です。

ヤクルトは、ヤクルト菌という乳酸菌の一種を使って作ります。
ヨーグルト・ヤクルトなどに含まれる乳酸菌には整腸作用があり、お腹の調子を整えてくれるというので、身体に良いと言われています。

カルピスも乳酸を発酵させたものですが、ヤクルトの場合は、発酵させた乳酸菌が生きたまま腸まで届くというのが(うた)い文句になっています。

カルピスは、昔から大きなビンに入って売られていて、夏になると母がよく水で薄めて飲ませてくれたものでした。

あのカルピスの味とヤクルトの味は、あまり変わらない感じがします。
また、ヤクルトの方が小さなプラスチックの容器に入っているにもかかわらずヤクルトの方が非常に値段が高い。
どうしてあんなに小さい容器に入ったヤクルトの方が高いのだろうと、不思議に思うわけです。

ところが、ヤクルトは日本全国津々浦々まで普及し、会社も素晴らしい発展を遂げており、日本だけにとどまらずブラジルや東南アジアなどの諸外国でも成功しています。

ヤクルトは、「ヤクルトおばさん」と呼ばれる販売員が全国にいて、そのおばさんたちがヤクルトの入ったカートや自転車を押して売っています。
ヤクルトは単価が高いから、粗利が大きい。
だから、おばさんたちにもたくさんの給料を渡すことができる。
おばさんたちも、これなら十分な収入になると熱心に売って歩くわけです。

そのおばさんたちは、まず会社で研修を受け、そこで「これはただ単に清涼飲料を売るという仕事ではありません。私たちは、健康を売っているのです。これを毎朝1本飲むだけで身体(しんたい)にいい。国民の健康はヤクルトが提供します。」と教えられるそうです。

つまり、これは健康産業であり、だからヤクルトを売るのです、という大義名分までヤクルトおばさんに理解してもらうそうです。

ヤクルトの値決め、そこには理由があるのです。
第138回目では、値決めをする際の普遍的な原則として、「お客さんが喜んで買ってくれる値段の一番高い点を瞬時に射抜く」と言いましたが、ではその値段で売れば経営は必ずうまくいくのかというと、そうとは限りません。

その値段で売ったけれども、利益が出ないというケースもあります。
問題は、売値を設定したらその中でどうやって利益を生み出していくかということなのです。

メーカーであれば、利益は製造側がどうコストダウンを図るかということにかかってきます。
もちろん、営業がただ値段ばかりを下げて注文を取っていてはどんなに製造が苦労をしたところで利益は出ないでしょうから、なるべく高い値段で注文を取ってもらわなければいけません。

しかし、すでに決まった値段で利益を生み出せるかどうかは製造側の責任です。
モノには必ず原価というものがあります。
一般には、その原価プラス利益で売価が決められており、資本主義社会においてはそれが正しいと言われています。

しかし、私がここで言っているのはそうではありません。
「稲盛和夫の実学」という本に「売価還元方式で原価を求める」ということが掲載されています。
つまり、「売値がまずありき」ということなのです。
これだけ競争の激しい昨今では、原価がいくらでいくらの利益が欲しいからと、単に「原価+利益」という積み上げ式で売値を算出するというやり方は通用しません。

売値は先に決まっていて、後はそれで利益がとれるように原価を合わせていくということをやっていかなければならないのです。
これが現在の市場(しじょう)経済の傾向となっているにもかかわらず、資本主義社会における会計学では、ほとんどが先の「原価主義」のままです。

大企業もほぼこの考え方にならっています。
ところが、それで売れなくなってくると値段を下げて売らなければなりません。
そうなれば、利益などすぐにふっ飛んでしまうのです。

ですから、「まず売値ありき」であって、その売値に合わせるためにはどうやって原価を下げるかということを考えなければなりません。
その売値も設定が安すぎてはいくら苦労しても利益は出ませんから、「市場で通用する最高の値段」で設定しなければならない、ここが肝心なところだと思います。

コメント

小泉社長

(2019/07/16 10:04)

第142回目《健康を売るという大義名分 -ヤクルトの例-》はいかがでしたか?

JALの場合、飛行機に搭乗するとCAの方がカートを運んで機内販売を始めます。
倒産する前は機内販売する商品はすでに決まっていて、CAの方は与えられた品物を販売していました。
結果として売れ残りも多く、期末には多額の在庫を抱えていました。

しかし、誰もあまり採算を考えておらず、結果として赤字になっていたようでした。
それに対し、JALの復興に携わった稲盛さんは、機内販売は飛行機に搭乗しているお客様を対象とする販売業として十分利益が出るはずなのでひとつの事業として独立採算とすべきだと主張しまされました。
また、お客様のニーズが一番よく分かっているCAが販売する品物を決め、その値決めもするように指示されました。
そして便ごとの採算も出るように指示をされました。

これによりCAの方が何を販売すべきか、それはどこから仕入れるべきか、仕入れはどうするべきか、みんなで集まって議論するようになりました。
机の上に多くの商品を載せ、みんなで喧々諤々の議論を真剣にまた生き生きとされていました。
当然の成り行きですが、自分達で選び仕入れをした商品なのでCAの方々はお客様に商品の良さを一生懸命に説明し販売しようとする。

その結果、経営者意識の高い子が育っていくと共に、機内販売の売上は大幅に増え高収益事業となっていきました。

小泉社長

(2024/04/13 19:00)

弊社の取扱商品でお子様がすくすく肯定感を持って育つ商品を取り扱っております。
ほめ写プロジェクト
写真を見せて褒めると肯定感のあるお子様が育つそうです。


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