コストダウンは考え方をガラリと変える
一番館のオフィス事業部では、一般の機器の販売とは違って、店を構えて売る必要がありません。
注文を受けるのは、たとえば株式会社○○さん…と言った会社からで、営業が受注して納めるわけですから、店を持つ必要がないのです。
もちろん、お客さんのところに訪問して提出する資料などを作成するための事務所は必要ですが、基本的に受注納品ですから、在庫を保管するスペースも持つ必要はありません。
このようなビジネス形態の場合、どういうマージンを設定すればいいのかと考えた私は、最初、営業には売値の10%のマージンを渡そうと決めました。
この場合、会社側はその10%を引いた後、流通経費を引いて利益をあげなくてはならないわけです。
そのルールでしばらくやって来ましたが、カメラやパソコンなどといった、設定や使い方説明が必要な商品は、10%のマージンでは採算は合わないということが分かってきました。
たとえば、パソコンはお届けして設定し、使い方説明をしなければなりません。
設定費はパソコンの見積りの段階ですればいいのですが、操作説明費は営業の経費で行うことになりますので10%ですとかなり厳しいマージンとなります。
しかも、保守に加入してもらえなければトラブル時の切り分け(初期判断)を営業が行うことになります。
すると、切り分け(初期判断)のサポート代は、営業の粗利から捻出しなければなりません。
一般消費者向けの製品を弊社のような販売店が売る場合は、自社の営業が売ったらそれで終わりではなく、その後のちょっとしたサポートもしなければならないわけです。
つまり、自社の営業経費に切り分け(初期判断)の費用を含めなければならないということなのです。
たとえば、営業が10%くらいの粗利が欲しいと言った。
売値が100円だとすれば、営業に納める値段は90円です。
営業はその90円から、販売管理費10%と会社の利益10%を引いた70円で仕入れなければなりません。
競争の激しい商品は乱売に乱売を重ねていきますから、営業から言い渡されるような価格では、たいてい採算なんか合うはずがありません。
それでも売ってもらわなければならないので、その要求をのみ、営業に10%のマージンを確保してやらなければならないのです。
こうなると、20%の粗利がなければやっていけないと分かっていながら、それがどんどん減って5%程度になってしまう。
その中から営業経費を出せばたちまち赤字です。
しかも、ギリギリのコストでやっていますから、仕入れ側も全然採算が合わない。
このようなケースが大半だと思います。
「しょうがない。」と諦め顔の大手メーカーの重役もたくさんおられますが、それでは値決めになっていないのです。
お客さんが喜んでくれる最高の値段で値決めをするけれども、諸々の経費が発生し、利潤は減っていく。
ならば、原価をどこまで安くできるかということを徹底して考え尽くさなければならないわけです。
それなのに、原価は積み上げ式で決まっていると思い込んでいる。
それでは経営が圧迫されるのは当たり前です。
たとえば、売値4,000円の腕時計を作って売るとしましょう。
そこから流通マージンを全部引いて、残りが1,000円になったとします。
ところが、従来使っていた水晶振動子、バッテリー、その他の部品のコストを積み重ねていくと、材料費だけで1,000円を超えてしまった。
そうなれば、発想を根本的に変えなければならないのです。
今まで使っていた水晶振動子を半値、いや、3分の1の値段で売ってくれるところはないか、バンドも同じものが5分の1で買えるところはないか、と調べていく。
営業ももっと効率よくお客様へ伝える方法はないか、販売管理費ももっと抑えられるところはないか、と調べていく。
それでも限界があるならVA(バリューアナリシス=価値分析)を行い、設計そのものから見直し、1,000円で作っても利益が出せるような設計に変えていくのです。
現代は市場が決めた売値で採算が合うように、製造側が設計を工夫していかなければならない時代です。
ただ単に、業者から材料を叩いて買ってコストダウンを図ればいい、というような考え方の甘い、力のない会社はいずれ赤字に苦しむことになります。
オフィス事業部では、東(1課)・西(2課)・南(3課)・北(4課)に分け、さらに効率よく定期訪問ができるようルートに分け、さらに効率よくご提案できるように訪問前にご提案内容をメールで送り、さらに効率よくメールが送れるように同報メールソフトを活用し、さらに効率よく訪問ができるようにメールで提案した内容のご紹介を電話し、さらに興味を持ってもらえたらアポイントをとってから訪問をするように改善改良が行われています。
また、イメージング事業部でも同じように改善改良が行われ、2015年1月にはSTBの原材料を根本的に見直し、10L320円かかっていたところ、10L8円のコストダウンに挑戦しております。
このように常に改善改良と創意工夫をすることでコストダウンを実現し、さらに壁にぶち当たった時には考え方をガラリと変えてコストダウンを図る必要があります。
今後も引き続き、誰にも負けない努力と創意工夫で考え方をガラリと変えて、コストダウンをしていかなければなりません。
コメント
川邉さん
(2015/12/11 20:04)
弊社のためだけではなく、お客様のためを考えて、常に改善改良の余地がないか考え続けることが必要なのだと感じた。
日々仕事をしている中でも、改善改良のための小さな気づきや発見を見逃さないように新鮮な目で物事を観察していきたい。
小泉社長
(2024/10/06 12:00)