余裕のある経営は成功の大前提
私は会社を作ってから今日まで、システム開発にしろ、新規事業の立ち上げにしろ、すべてこの「成功するまで諦めない」という姿勢で取り組んできました。
言ってみれば簡単なことで、成功するまで諦めずどこまでも粘りますから、一番館の事業はほとんど全部成功している、というわけです。
しかし、この前提として重要になるのは、一番館の行動指針にも出てきますが、常に「土俵の真ん中で勝負をする」、すなわち余裕のある経営を行う、ということなのです。
「余裕のある経営」ということでは、松下幸之助さんが「ダム式経営」について、雨が大量に降ってそれがそのまま川に流れ込めば、川が氾濫して洪水を引き起こし、たいへんな災害を招いてしまう。
だから、雨水を一旦ダムで堰き止め、それを必要に応じて放流すれば、洪水の発生を抑えるだけでなく、川の水を絶やすこともなくなり、有効に水を使うことができる。
事業経営の場合でも、景気の変動にただ身を任せるのではなく、ダムをつくって水を蓄えるように資金を蓄積し、必要量だけを使っていく、そういう余裕のある経営をすべきですよ、という松下幸之助さんのお話を聞いて、私はたいへん感銘を受けたわけです。
この余裕のある経営ができていませんと、「成功するまで諦めない」という手法は使えません。
それは、先ほど例にあげたアフリカの原始狩猟民族の場合でも同じです。
たとえば、家族を当面養っていくために小さな獲物でも獲りに行こうと、何も準備をせずに出かけたとします。
飲まず食わずではせいぜい1日か1日半くらいしか体力が続きませんから、獲物の足跡を見つけても結局追いつけないまま、自分の村に戻らざるを得なくなるでしょう。
しかし、たとえば水を入れた竹筒と、以前獲った獲物の干し肉などを腰にぶら下げていれば、それを飲み食いしながら3日でも4日でも獲物の足跡を追いかけていくことができます。
ごく最近の足跡を辿っていけば、獲物も不眠不休で動いているわけではありませんから、必ず体を休める住処にまで辿り着けるはずです。
つまり、3~4日分の食料という執拗に獲物を追いかけていくための余裕があれば、必ず目的は達っせられるのです。
営業活動にしても、やはり資金面に余裕がなければ、何年も続けていくことはできません。
事業で利益を出し、営業経費を使っても会社は十分にやっていけるという余裕がどうしても要るのです。
「成功するまで諦めない」ということは、成功するためのエッセンスと言っても過言ではありません。
そして、それには成功するまで粘ることのできる余裕をもっていることが前提となるのです。
では、必ずしも余裕がなければ成功できないのかというと、そうでもありません。
たとえば、ある経営者がこのように話すのを聞いたとしましょう!
「車も自分の家も、持っている物は全て売りました。そこまでしても資金繰りがうまくいかないので、もう諦めざるを得ません。」
そう聞いたなら、私は次のように言ってあげたくなるのです。
「何も車がなければ商売ができないということはないじゃありませんか。自転車があるでしょう。朝から晩まで自転車をこぎまわって注文を取りにいくこともできるのだから、まだ十分やれるはずです。」
確かに、経営に余裕は必要です。
しかし、身体1つしか残っていなくても、まだ諦めずに頑張っていけるはずなのです。
家も売った、車も売った、だからもうダメだ、と思うのか。
それとも、まだ自転車がある、いや、電車に乗ってでも注文を取りに行こうと考えるのか、それはその人次第です。
成功するためには、このように「諦めない」という姿勢が肝心です。
ぜひこの「諦めない」ということを心に留めておいていただきたいと思います。
コメント
川邉さん
(2015/10/11 18:22)
綱渡りをするような経営状況の会社と、土俵の真ん中でじっくりと活動できている会社とでは、当然、土俵の真ん中で構えている会社の方が良いに決まっている。
それは、その会社で働いている従業員にとってはもちろんのこと、その会社のお客様にとっても同じではないだろうか。
お客様からすれば、「安心して任せられる企業かどうか」は、商談を左右する大変重要な判断材料になる。
今回の項目にある「成功するまで諦めない」粘り強さも、土俵の真ん中で相撲を取る企業の方が長く実行し続けられる。
それゆえ、自分たちのためだけではなくお客様のためにも、余裕のある経営を目指さなければならないのだと感じた。