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第177回目

人格は変わるということを前提にリーダーを選ぶ

人生の方程式のなかにある「考え方」とは、人の中の哲学であり、思想だと考えております。

さらに言葉をかえて言うなら、それは、人格・人間性です。
この人格・人間性が、人生の結果・仕事の結果を決めるのです。

「カニは自分の甲羅に似せて穴を掘る」と同じように、「企業はトップをはじめとする全従業員の器までしか大きくならない」と言われております。
そのトップをはじめとする全従業員の器・大きさ・器量がすなわち、会社の社格となります。

すなわち、トップをはじめとする全従業員の人格・人間性が、会社の社格、それぞれの仕事の結果、人生というものを決める、私はそう考えております。

1998年(平成10年)、CSIS(国際戦略研究所)というアメリカのシンクタンクが主催するシンポジウムがワシントンで開催されました。
そこでは「リーダーのあるべき姿」というテーマで、多くの有識者が議論をかわしました。

このシンポジウムは、CSISの所長、アブシャイア元NATO大使が、稲盛和夫氏の著書のなかの「リーダーのあり方」という項を読み、感銘を受けたということで企画されたものでしたが、それだけではなく、当時クリントン大統領のスキャンダルで、アメリカの大統領の権威が失墜しているという問題を、有識者たちが危惧していたことも開催理由の1つでした。

討論では、「リーダーには素晴らしい人格を持った人を選ぶべきだ」ということが異口同音に言われました。

特にアブシャイア氏は、「アメリカ合衆国憲法が大統領に強大な権力を認めるようになったのは、初代大統領ジョージ・ワシントン氏が素晴らしい人格の持ち主だったからです。ならば、その後の大統領にそれだけの権力を持つのにふさわしい人格が備わっていない場合、その権力を付与していいものか、という議論が出てくるのは当然の流れです。よって、ここで改めて大統領職の権限について議論すべきです。」とまで主張されました。

そこでランチョンスピーチを行った稲盛和夫氏は、日本の二宮尊徳の例をあげて、次のような話をされたのです。

「集団を引っ張っていくリーダーにはその人格がまず問われる、このことには皆さん触れられましたが、私はそれについて“人格は変わる”ということを前提に考えるべきだと思っています。大統領に選んだ時点においては、その人物の人格は素晴らしかったのかもしれません。しかし、ひと度権力の座に就けば、後にその人格が変貌を遂げていく場合もあるわけです。素晴らしい人格の持ち主を社長の座に就け、権力を持たせてみたら、その後は見る見る人間が腐敗していき、とんでもない経営者になってしまったという例もあれば、逆に以前は手に負えないようなワルだったのに、精神修養(せいしんしゅうよう)を積み、やがて立派な人間に変わっていったという人もいます。このように“人格は変わる”ということを前提とすれば、リーダーには、いま現在の人格が素晴らしいだけではなく、今後もその人格を維持していくような人を選ばなければなりません。」

そのような話を聞いて、私は確かにそこまで考えなければならないと納得しました。

少し脱線しましたが、「倹約を旨とする」という考え方は、中小零細企業時代にのみ必要なものではなく、どれほど立派な大企業に成長しようとも変わらず持ち続けていかなければならないものなのです。

皆さんもぜひ、入社当時の初心を忘れず、勤勉かつ倹約を常に心がけるようにしてください。

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