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第025回目

「約束」を「実体」にしていく過程で独創性は生まれた

一番館は、創業の時から独創性を重んじて、人の模倣(もほう)ではなく、独自の技術で勝負をしてきました。
他社が「できない」と言ったものを喜んで受注してきました。
というと、素晴らしい技術力を持っていた会社のように思われるかもしれませんが、実体はそうではありません。
各メーカーやブレインに本当に助けてもらいながらここまで来たように思います。

私が最初に手がけたのは、小さな会社へのネットワークの構築でした。
創業した頃は小さな会社にはネットワークが構築されておらず、プリンタなどはパラレルケーブルで切り替え機を使って接続していました。
切り替えミスを起こすと、当然言語の違うプリンタにデータが飛ぶわけですから、文字化けのプリントが大量にできてきます。
ほぼすべての会社で大変困っていました。

ですから、新しく売り込みに行く先は、小さな会社にネットワークの構築を提案することになります。
ところが当時の一番館が持っていた知識は、大手ではものすごく高いお金を払ってネットワークを構築していることだけでした。

そこで、実際に弊社でネットワークを構築して完成してから「当社はプリントサーバーなどネットワーク機器を取り扱っておりますが、何かお手伝いできることはないでしょうか?」と言いながら、中小企業にアプローチしました。
ところが、各会社さんで使っているプリンタやパソコンなどのメーカーも型番もばらばらで、相性問題などもあり弊社で構築したようにはいきません。

そこで、「お客様のシステムは弊社で構築した機器と違いネットワークの構築がうまくできません。」と言えば、それでその会社とのつながりは切れてしまいます。
そこで、できそうなフリをして「いや…、難しそうですが、できると思います。」と言わざるを得ません。
そう言わないと、今仕事で受けたシステムの構築がなくなってしまうものですから、頭を傾けて考えているようなフリをして「何とかします。」と答えてしまうのです。
できると言ったのは全くのウソなのです。

ところが、それをウソのままにしてしまったのでは、もう二度とその会社に顔を出すことはできません。
ウソをつく人が自分から世間を(せば)めるように、当社も必ず結果を出さないと、次の仕事は受注できなくなってしまいます。
ですから、「何とかします。」と言った後がたいへんです。
なぜなら、そのウソ(虚)を本当(実)にしなければならないからです。

実は、このウソが独創性につながっていったのです。
各メーカーさんに電話をしたり本を購入して読んだり、もうとにかく必死で仕事をしていくうちに80%くらいできると思えば、後の20%は創意工夫(考え方)と誰にも負けない努力(熱意)でなんとかなることを知りました。

このことはその後、いろんな仕事を着手する上でたいへん良い方向へ向いていきました。
「独創性を重んじる」というと、何か高級な、高尚なことのようですが、そもそもの始まりは弱々しいリーダー、弱々しい経営者だった私が考え出したものだったのです。

つまり、注文をもらえるだけの技術もない、設備もない企業の経営者が、苦肉の策で注文を取らなければならなかった。
しかし、そういう方法で注文を取ったことが、結果的には、独創性を発揮せざるを得ない状況を生み出したのです。
(きゅう)すれば通じる道は、必ずあります。
つまり、私はあえて自分を窮する状態、困った状態に追い込んで、そこから新しい閃きや技術を生み出そうとしたのです。

たとえば、立派な研究所を作り、一定の研究費を計上し、一流大学の優れた人材を採用して「はい、これこれの研究をしなさい。」という研究と、生きるか死ぬか、食うか食われるかという修羅場の、いわばギリギリの状態で研究しているのとでは、迫力が違います。
独創性もユニークな技術も、設備が充実しているから立派な研究所があるから、あるいは一流大学を卒業した技術者がいるからといって、必ずしも生まれるものではありません。
自分や部下を窮地に追い込み、生きるか死ぬかというギリギリのところで物事を考える、もしくは作っていくという状態が、独創性を生み出す基となっていくのです。

今までにしたこともない仕事で、利益も出そうにないのに「やります」と言ってしまう。
私はそれをウソだと言いましたが、そうすることで、人の模倣ではない、まさに独自の技術を開発することができるのです。
現にPhotoSpotは、日本中の写真屋さんのどこにもないノウハウで既製品や共同で開発したシステムを使い、弊社が独自に考えたやりやすいシステムを作り、利益が出る仕組みを作って邁進(まいしん)しています。

コメント

松浦さん

(2018/04/06 10:40)

嘘を本当にするという方法は、僕もよく使っています。
本当は賢い生き物なので、期限さえ作ってしまえば案外なんでもできるものです。
多くの人間は、時間さえかければ何でもできると思いがちですが、それは違います。

なぜなら、期限を決めないとペース配分ができないからです。
いつかそのうちできるだろうという考え方では、おそらく死ぬまでできません。
だから、みんな年寄は若い時何かをしたかったなあと昔話をするのです。

しかし、期限さえ決めてしまえば体が勝手にペース配分をしてくれます。
これが集中力というものではないでしょうか。
期限をぎりぎりに設定すれば寝ずに集中できるようになるし、長期に設定すれば一日15分、必ず勉強できるようになるのです。


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