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第214回目

素晴らしい人間性で部下に接し、累積赤字を消した男

これは京セラの稲盛名誉会長のお話なのですが、稲盛氏が創業時からずっと一緒に仕事をしてきた人で、人間性はよいのですが、お酒を飲み過ぎたり、常にずっこけたりするような人でしたから、大きな仕事は任せらられなかった人の話です。

「京セラが上場して、どんどん立派になっていく中で、その人をいつまでも幹部にしておくわけにはいかない」と稲盛氏は思われました。

素晴らしい人間性を持っていて、会社に対してものすごいロイヤルティがあるのですが、その人に物足りなさを感じていたので、稲盛氏は冷たく、子会社に出したのです。
細かいことは何も言わず、「赤字だらけの会社に行ってください」と言ったそうです。

創業の頃から、稲盛氏と一緒にやってきた人です。
そして、ずっと頑張ってきて、本人は「自分も努力をして今日の京セラをつくった」と思っておられる。
その人に対し、本当に冷たい仕打ちをするかのように、大赤字の会社に出向を命じた。

普通でしたら、ふくれっつらをして、「アホらしい。一緒に会社をつくった自分に、こんな冷たい仕打ちをするのかよ、稲盛さんという男は。」というので、おそらくそこから変な方向にいくものです。
ところがその人は、その会社に行って一生懸命事業の立て直しをされました。

そういう業績の悪い会社というのは、だいだい、社員もレベルが低いわけです。
そのレベルの低い社員を、その方が一生懸命説得をしていったのです。

その方は創業時代から稲盛氏と一緒にやってきた仲間ですから、たまたま京セラの大株主でもありました。
ですから、お金には不自由していませんでした。

自分の株を処分して、それでつくったポケットマネーで従業員に飯を食わせては「頑張れよ、頑張れよ。」と言う。
また飲みに一杯連れて行っては、「おい、頑張れよ!」と言って励ます。

そうして、15年かかって、何十億円とあった累積赤字を全部清算し、黒字にしたのです。

そのように過去の累積赤字を全部消したのに、ちっとも威張らない。
「あなたには、本当に苦労かけましたね。」「いやいや。私は会長にお目にかかって、会長と一緒に仕事をさせてもらっただけでも幸せです。このくらいのことをしても当然です。」本当に頭の下がるような素晴らしい人になられたそうです。

ですから、石垣を組んでいく時には、そういう小さい石も大事なのです。
つまり、会社も人間的に素晴らしい人がいてはじめて、成り立つのです。

ですから、筋肉質の集団を目指すことは、必ずしもバリバリのやり手だけを選んで入れることではありません。
バリバリやれる人の間に、そういう人間味あふれる人がいなくてはなりません。

能力がなくて人間味がない人には早く辞めてもらいますが、本当に会社のためにという人については大事にすることです。
そういう人は、すぐには役に立ちませんし、厄介者かもしれませんが、必ず将来、素晴らしい仕事をして返してくれると思います。

そのような人がいる会社が、本当に強い筋肉質の会社なのです。

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