いくらの粗利がいるのかを考える
オフィス事業部などの流通業の場合、あるモノを仕入れて売るということをしています。
その場合、同じ品物なら同業他社より少しでも安くしなければ売れませんから、定価から5%~10%くらい引いて売ろうと考えます。
ところが、そうやって売った場合、粗利はいったいいくら残るのか、また、最低でもどのくらいの粗利が要るのか、ということを考えなければなりません。
たとえば、100円で商品を仕入れてきたとします。
他社はそれを130円で売っている。
ならば、ウチは10円安くして120円で売ろう、いや、115円ならもっと売れるかもしれないという具合に値決めを行ってしまう人がいます。
確かにその値段なら売れはするけれども、経営はうまくいかずに火の車になる。
これは、「どのくらいの粗利があれば会社をまわしていけるのか」という知識が欠けているのです。
同業他社よりも安ければ売れる、それだけの感覚で値決めを行って失敗しているわけです。
「完成品を仕入れて右から左へ売るのだから、口銭として5%もあれば十分ではないか?」と考える社員もいたりします。
小売り業界では1人~2人の個人事業で15%、従業員を雇い始めた会社になると粗利は30%なければダメだと言われています。
ですから、カメラや電化製品などの安売り店でも、商品を売値の30%引きの値段で仕入れていると思います。
つまり、広告宣伝費(2%)、仕入れ経費(2%)、見積事務(2%)、営業経費(8%)、納品書作成事務(2%)、請求書発行事務(2%)、入金処理(1%)、会計処理(1%)、と人件費や切手やトナー代や紙や交通費などの全ての経費を考えれば売上の20%くらいの経費はかかってしまう、ならば、10%の税引き前利益を確保するには30%の粗利がどうしても要る、ということをみんな知っているわけです。
ところが、素人経営者やビジネス感覚のない従業員だと、「仕入れて売るだけなら20%も粗利があれば結構。」と言ってみたり、またそこへ5%の値引きをして売って、結局15%の粗利しか取れず、「こんなに頑張ったのにうまく行かない。」と汲々としている。
それは、値決めが間違っているのです。
どのくらい粗利が要るのかが分かっていなかった結果なのです。
コメント
小泉社長
(2015/11/18 00:30)
第144回《いくらの粗利がいるのかを考える》についていかがでしたでしょうか?
30%以上粗利が取れる付加価値の高い商品やサービスの場合、なんら問題はないのですが、30%の粗利がどうしてもいただけない商品やサービスについては、全員であらゆる創意工夫をして利益を確保しなければなりません。
その創意工夫の一つに、弊社の見積り提示の仕方があります。
弊社では、30%以上の粗利(10%以上の利益)が確保できている時はそのままの価格で表示をするのですが、30%以下の粗利(10%以下の利益)になってしまう商品やサービスの見積りについては、30%の粗利(10%の利益)で価格を表示し、貴社特別値引きとして値引きを入れています。
こうすることにより、商談を受注した際にどれだけ創意工夫をして本来あるべき利益にしなければならないのか分るようにしているのです。
今後もあらゆる努力をしていかなければなりません。
より一層のご協力をお願いします。
前田さん
(2018/07/13 16:31)
近年では、お客様のより安くという声に応えて価格を安く過ぎてしまったため、倒産している会社が少なくないような気がします。
はれのひ・てるみくらぶなど。
しかるべき利益をとって、会社を健全に運営していけたら良いと思います。